キャリア形成を考えた就職活動って?

就職活動、何から始める?

1.「やらなくてはいけないこと」に挫折する人も

 就職活動のスタートとして、まずは積極的に情報を集めるところから始める方が多いと思います。「就職活動のスケジュールを確認する」「求人広告サイトへ登録」「インターンシップ向けの合同説明会に参加」などです。
しかし、活動を始めてからしばらく経つと、募集している企業の多さや、就職活動に関する情報の多さに戸惑い、なかなか思うようにいかない時期に差し掛かることがあります。人間の脳は、一度に沢山の情報に触れると、情報の処理がしきれずに判断力が低下し、ストレスを感じやすくなります。

「エントリーシート(ES)に書く企業の志望理由どうしよう」

「グループディスカッション、周りの人のようにうまく話せるかな」

「面接ではどんな質問を聞かれるのだろう」

このような不安や悩みがストレスを増大させ、段々と就職活動に消極的になっていきます。自信を無くして挫折してしまう方もいます。

大切なことは、自分にとっての有益情報のみをインプットするようにすること。どれもこれも大切と思い手を広げてしまうと情報過多になり、かえって自分にマイナスの影響を与える結果になってしまいます。

自分の状態をしっかりと把握して、自分にとって大切な情報かどうか判断するためにオススメしたいのが、「キャリア形成」に目を向けることです

2.まず「キャリア形成」を考えてみよう

「キャリア形成」とは、自分が実現したいキャリアに必要な仕事の経験やスキルを身に付けていくことをいいます。自分がどのような人生を歩みたいか、どういった仕事に就きたいかしっかりと向き合い、自己実現を図る大事なプロセスです。

厚生労働省もキャリア形成に着目しており、以下のように述べています。
「今後人生100年時代が見据えられ、これまでのような、高校・大学まで教育を受け、新卒で会社に入り、定年で引退して現役を終え、老後の暮らしを送る、という単線型の人生を全員が一斉に送るのではなく、職業生活が長期化する可能性がある中で、個々人が人生を再設計し、一人ひとりのライフスタイルに応じたキャリア選択を行い、多様なライフステージで求められるスキルを身につける機会が提供されることが重要である」

終身雇用が過去のものになりつつある現代では、自分の描きたい生活やキャリアに沿って、適した会社に勤めるという考え方にシフトしてきています。キャリア形成を考えた働き方を目指すことで、自分が身に付けたい経験やスキルを習得した後、次のステージへのステップアップが考えられます。万が一会社の業績が悪化したとしても、形成してきたキャリアが転職の際に大きな可能性を生むのです。

「厚生労働省 平成30年版 労働経済の分析 -働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について」の資料によると、「情報通信機器を利用した雇用によらない働き方」を選択している人口が増えていることが分かります。IT進展により仕事やキャリアに関する考え方も変化し、働き方の自由度も高まっています。

文部科学省、厚生労働省はキャリア形成についてのサポート体制を整え始めており、ライフスタイルに応じたキャリア選択を柔軟に行うことのできる転職市場が整備されつつあります。生涯を通じていつでも有用なスキルを身につけられる学び直しの場が提供されるなど、主体的にキャリア形成を行うことができる環境がこれからますます整っていくことでしょう。

3.「キャリア形成」を考えることで、自分のキャリアを作る

学生が社会人になる前に、自らの進む先を見定めることや、将来のプランを正確に描くことは中々難しいものです。まだ仕事や生活スタイルの具体的な将来像が思い描けず、「今後・その先」を想像するよりも「今・ここ」の状況や、なんとなくのイメージで考えてしまいがちです。

キャリア形成について、では就活生は何から始めたらよいでしょう?

「成功哲学の祖」として世界的に知られているナポレオン・ヒルの言葉「「思考は現実化する」(Think and Grow Rich)」にあるように、まずは自分自身がキャリア形成の大切さを再認識し、自分自身の人生やキャリアに責任を持つと決めることが、キャリア形成のスタートだと言えます。つまり、自分の人生の在りたい姿をイメージしながら、実現するための実績や信用を積み重ねるキャリア形成をしていく意識が大切です。それを踏まえて自身の就職活動を考えてみましょう。

キャリア形成の考え方

1.キャリア形成は、自分の意志で極める領域を決めること

 キャリア形成を考える際には、世の中にどのような仕事があるか「業界・業種」研究から考える視点と、自分がどのような志向を持っているか「自己分析」から考える視点があります。どちらも重要な視点ですが、ここでは「自己分析」の4つの視点から、キャリア形成について考えてみましょう。

① 自分の極上を求めた人生を考える

今まで、周囲の人達とうまくやることを気にしたり、学校の成績を気にしてばかりで、自分自身の心の声にきちんと耳を傾けて来なかった人は、問いかけてみましょう。
「今まで、一番夢中になった出来事はなんだろう?」
「考えるだけでモチベーションが高くなり、突き詰めたいと思う領域はなんだろう?」

自分の心が熱くなる、極上を求めた記憶が無い人は、自分の心に素直に従った日々を想像してみてください。
キャリア形成の第一歩は「自分がどうなりたいか」を見つけることです。今の自分が最高であると、自分自身を受け入れ、在りたい自分と仕事を照らし合わせて考えてみましょう。

② 目指したい人(ロールモデル)を見つける

自分が尊敬する人や憧れる人を目指すのも、キャリア形成に有効です。その時のおススメは、複数の人をロールモデルにする手法です。
自分の理想を完璧に満たしたロールモデルを見つけるのは難しいため、「コミュニケーションスキルは◯◯さんを見習おう」「経営スキルは△△さんを見習おう」というように、役割ごとにロールモデルを分散させ、さまざまな人の良い点を組み合わせて設定すると、より自分に合った仕事やキャリアを考える参考になります。

③ Will・Can・Mustを考える

ビジネスにおけるフレームワークの1つで、以下の3つで成り立ちます。

「Will:本人が実現したいこと」
「Can:活かしたい強みや克服したい課題」
「Must:能力開発をするために何をするべきか」

これは目標達成にも使える考え方となります。例えば、自分がやりたい仕事(Will)に対し、資格が必要(Can)なのであれば、資格取得に励む(Must)必要があります。自分が目指すキャリアには足りないものがあると思った際に、諦めるのではなく、不足を埋める経験を積む選択も、キャリア形成のベースを作る大切な行動となります。

④ 他人と比較しない

自分自身を知るために、第三者の視点はとても大切です。しかし、同じ人生を歩む人は一人もいないように、同じキャリア形成をする人は一人もいません。他人のキャリアを見てうらやましいと思ったら、「なぜそれがうらやましいと思うのか」と、自分の気持ちを考えるようにしましょう。自分にとって一番意義のあるキャリアは、自分自身が求めたキャリアを掴むことです

2.キャリア形成は未来の自分への投資

10年程前から、「VUCA(ブーカ)」の時代だと言われるようになりました。「VUCA」とは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字をつなぎ合わせた言葉で、あらゆるものを取り巻く環境が変化し、今後の予測が困難になっている状況を示す言葉です。
新型コロナウイルス感染症の流行で、世界経済が大混乱をすることが誰も予測できなかったように、これから企業は時代の変化に対応をしていかなくては生き残っていけなくなってきています。国税庁の数字によると、会社が10年続く確率は6.3%程度、20年続く確率は0.4%、30年続く確率は0.021%となります。これから30年以上仕事をしていくと考えると、1つの会社で働き続けるということを前提にした就職活動では不安な数字と見て取れます。

キャリア形成を考えることは、このような先の見えない時代にこそ役に立ちます。会社が社員を教育したりキャリアを積ませたりして、生涯の雇用を保証すると言えなくなった。つまり、キャリア形成を考える主体が、「会社から個人」に移り変わったことを意味します。先の見えない時代に、自らがキャリア形成を考え、自分が目指すべき仕事に必要なスキルを身に付けていくことは、この時代を生き抜く武器を磨くことにつながります。

キャリア形成を考えながら就職活動を進める

1.就職活動のゴールを、キャリア形成と紐づける

就職活動におけるゴールは何でしょうか。就職活動をしている学生に質問をすると、「第一志望の企業から内定をもらうことです」という回答が多いです。
しかしながら、キャリア形成を考えた就職活動のゴールならば、第一志望の企業に入って、「自分の力を活かして活躍をする」ことや、「自分の力を付けるための経験(スキル)を積む」ことであるべきです。内定という通過点をゴールにするのではなく、キャリアのための就職活動という、中長期的なゴールを追う就職活動が、今の時代のベターな就職活動となり得ることを覚えておいてください

2 効果的な就職活動の進め方

キャリア形成を考えた就職活動を進めるにあたり、「OODAループ」を用いた取り組み方を紹介します。OODAループは、勝敗に関わる意思決定と実行のための思考法の1つで、それぞれ「Observe(観察)」、「Orient(状況判断、方向づけ)」、「Decide(意思決定)」、「Act(行動)」の頭文字をとった言葉で、4つのステップを繰り返す手法です。行動改善として良く知られているPDCAサイクルは、計画段階(Plan)の状況の変化によって、うまく回らなくなることがありますが、OODAループは文字通り、必要に応じて途中で前の段階に戻ってループから再開したり、状況に応じて任意の段階からループをリスタートしたりできることが大きな特徴です。
(例)
① Observe(観察):自己分析を行い、自分の強みを活かした職種を選択

② Orient(状況判断):自身の経験から、興味のある業界をピックアップ

③ Decide(意思決定):業界の大手企業に複数エントリー

【変化】尊敬している先輩から、気づいていなかった自身の強みをアドバイス受ける
    全く考えていなかった職種に選択肢を広げてみる

② ‘Orient(状況判断)に戻ってリスタート:考えていなかった職種も視野に入れる

③ ‘再び Decide(意思決定):業界の幅を広げて大手企業に複数エントリー

④ Act(実行):就職活動にて自分の思いをぶつけて、共感してくれる企業を探す

① ‘Orient(状況判断)に戻って再びループ

まとめ

就職活動を進めていくと、実際に働いている人の話を聞いたり、自己分析を深めたりするなかで、気づかなかった自分と出会うことがあります。自分の目指すキャリアに確信を持つ人もいるでしょうし、逆に目指すキャリアを変えようと思う人もいるでしょう。 就活は自分自身を成長させる貴重な機会でもあります。適時成長に合わせて、 素早く適切な状況判断・意思決定・実行をしていくこと。これが、キャリア形成を意識した就職活動に繋がっていきます。変化を恐れず、伸びしろを伸ばし、目指すべきキャリアに向けて突き進んでいくことを祈っています。

この記事の著者

斎藤優

斎藤優

早大商学部卒業後、某大手人材会社にて新卒採用支援業務に従事。インターン企画運営、採用企画立案から媒体運用、説明会企画・運営、面接、内定者研修まで一貫して担当。個のキャリアアップを支援したいと思いから、国家資格キャリアコンサルタント取得し、より就活生に寄り添ったサポートを行っている。

この著者の最新の記事

関連記事

ページ上部へ戻る