キャリアオーナーシップという言葉を聞いたことがあるでしょうか。まだそれほど市民権を得た言葉ではないので、ピンと来ないかもしれません。働くことに関する言葉だというのは想像できるものの、それ以上はよくわからないという感じでしょうか。

近年、人生100年時代、予測不能な時代、VUCA時代など、先行き不透明な世の中で豊かな人生を送るための働き方に注目が集まっています。キャリアオーナーシップの概念を理解することは、就活を成功させるだけでなく、その後のキャリアをどう考えるかという上でとても大事です。大学生の間に知っておくべき概念であり、意識すべきことでもあります。そこでキャリアオーナーシップを理解し、大学時代や就活で意識すべきことは何かを考えていきましょう。

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 キャリアオーナーシップとは?

そもそもキャリアオーナーシップとは、「自分のキャリアは自分で作るものである」という強い当事者意識のことを指します。納得のいく仕事や働き方を続けていくために行動する意識です。就活生の皆さんは自分のキャリアなのだから、自分で考えるのは当たり前と思うかもしれません。実際はそうでもないのです。いや、正確に言うと昔はそういう考え方がなかったと言えるかもしれません。日本では、終身雇用が一般的でした。就職したら定年まで1つの企業に勤める人がほとんどで、キャリアは企業が作ってくれるものでした。同じ企業の中で複数部門を経験しながら、キャリアを積み重ねていくというのが当たり前でしたが、もうすでにその時代は終わりを迎えています。トヨタの社長による終身雇用が難しいという発言に注目が集まりましたが、世界のトヨタですら日本型雇用の危機感を強めているのです。いや、むしろグローバルで戦う企業だからこそ日本型雇用の限界を感じているとも言えるでしょう。

就職活動のときは自分の判断軸で企業を選んだとしても、あくまで個々の企業を選んでいるだけであって、キャリア形成を見据えて職業を選んでいる就活生は少ないです。就職先にやりたい仕事の希望を出したとしても、最終的には企業側が業務を決めているというのがまだまだ多くの場合の現実です。「就職活動」と言いながら、実際には「就社活動」という側面は昔と比べてそれほど大きくは変わっていません。

 キャリアオーナーシップが重視される背景

キャリアオーナーシップというキーワードは、今のところ人事領域で多く使われている言葉です。大学卒業後、1社で勤め上げ、そこそこのポジションと給与を得ている50代がいざその会社を離れることになったときに、他社で通用しないという問題が起こっています。終身雇用が前提だった時代では、自分の人材マーケットにおける市場価値を意識する必要はありませんでしたが、終身雇用の前提が崩れだした現在、自社以外で通用する市場価値を意識したキャリアを積んでいくことが重要とされています。

 人事の施策としてのキャリアオーナーシップ

終身雇用制崩壊後、人事部の担当者には、会社にしがみつく人材を守り続けるよりも、ある程度の流動性は覚悟しつつ、優秀な人材を集めたいという考えがあります。キャリアオーナーシップのマインドを従業員に持ってもらうことや、キャリアオーナーシップの意識を持った人材を求めています。

企業による従業員に対する支援も変わってきています。キャリア開発、副業の推進、リテンションの強化(優秀な人材を社外に流出させない施策のこと)など、人事の施策も様々です。昔は人事異動により企業内を異動することで、さまざまな仕事を経験させることがキャリア開発でした。キャリアアップとは会社の中でより上位のポストに就くことでした。しかし、今は違います。一人ひとりの自律的なキャリア開発に重きが置かれています。社内における価値だけでなく、社外における市場価値も意識しながら自分の価値観で仕事を選択できるような人材を育成しようとしています。それは、結果的に組織の活性化や生産性の向上につながるという考え方です。

 副業は会社にとってはデメリット。でも、なぜ推進されるのか?

副業を推奨する企業が増えている理由の1つは、キャリアオーナーシップを持った優秀な人材を育成・採用したいからです。現在は、他社に転職することが当たり前になり、独立したり、副業したりすることが当たり前の時代になりました。大手企業では副業の解禁はまだそれほど進んでいませんが、世の中の流れとしては副業解禁のほうに向かうことは間違いありません。

学生の立場からすると副業OKの企業は自由度が高そうでよいと思うかもしれませんね。立場を変えて人事部が副業の解禁をするメリットを考えてみて下さい。副業には機密情報の漏洩や労働時間の管理などのデメリットがありますが、そのデメリットを上回るメリットが何なのか?人事は何のために副業を解禁するのか?と考えてみると、答えが見えてきます。つまりは、優秀な人材を集めたいということです。

黒字リストラの対象は中高年?

「黒字リストラ」とは業績が好調の企業が、体力のあるうちに人員削減を行うことです。現在は主に45歳や50歳以上の従業員に早期退職を促すケースが多いです。以前は企業が苦しくなって、倒産のリスクが高まった企業が最後の手段としてリストラ、つまり従業員を解雇するということを行っていました。業績が悪化する前にリストラをするという点が過去と異なっています。

今は「一定以上の年齢」ということが一つの基準となっていますが、専門家の間では今後は年齢ではなく、会社に必要な人材とそうでない人材、という基準になるかもしれないと言われています。デジタル人材として貢献できるかどうか、自律型人材はOKだが依存型人材は不要、などといった基準が出てくるかもしれません。今後キャリアオーナーシップをもって成長を意識していない人は、若くてもリストラ対象になるといった可能性も、やんわり頭に入れておかれることをお勧めします。

 人生100年時代の社会人基礎力とは?

経済産業省が提唱する「社会人基礎力」を知っている人もいると思います。社会人基礎力とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力と12の能力要素から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」をいいます。2006年に作られたものですが、今でも多くの場面で活用されています。かなり浸透している能力指標と言えるでしょう。

しかし、その社会人基礎力が2018年にアップデートされていたことをご存知の方は少ないかもしれません。何が加わったのか?というと、「何を学ぶか、どのように学ぶか、どう活躍するか」という新たな3つの視点が加わりました。個人については、主体性を発揮して自分の持ち札を増やすことでキャリアを切り開いていくこと、つまりキャリアオーナーシップを持つことを勧めています。ぜひ「人生100年時代の社会人基礎力」と検索してみてください。経済産業省の資料にもキャリアオーナーシップの文言が多く出てくることが分かります。

大学生にキャリアオーナーシップは必要?

結論として、キャリアオーナーシップを意識して大学生活を送ることは、就活だけでなく、その後の仕事人生においても非常に重要な意味を持ちます

「主体的に自分のできることを増やす」
「自分で行きたいインターンシップを探して挑戦する」
「友人以外に幅広い年齢の方と関わるようにしている」

例えば、このような意識をもって大学生活を過ごしたら、就活もうまくいくと思いませんか?キャリアオーナーシップとは、決まった何かをすることではなく、主体的に行動することです。

キャリアオーナーシップがあるかどうかは、選考の中でにじみ出てしまうものです例えば、会社に頼る意識が強い人は、福利厚生や研修など条件面を意識しがちで、それは採用担当者も気づきます。安易に福利厚生の条件が良い企業を探していないでしょうか。一方で、会社に頼らず、むしろ独立も視野に入れて自分を成長させたいと思っている人は、採用担当者に魅力的に映ります。

自分の頭で考えて、能動的に行動することです。やりたい仕事、なりたい自分が決まっている必要はありません。何でも構いませんので、何かしらの行動をはじめてください。それがキャリアオーナーシップの第一歩になるでしょう。

就活塾でも

単に内定確保のための就活の「スキル」を教えているのではなく、キャリア形成についてアドバイスしてくれる塾もあります。人生を大きく左右する局面と考えて、色々調べてみるとよいと思います。単なる就活対策本とは違う新しい観点に触れてみてください。

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